この記事でわかること
- 『Blue Ocean Strategy』の核心的な主張とは何か
- なぜ「競争するな」という助言が、多くの人には使えないのか
- レッドオーシャン(競争市場)とブルーオーシャン(未開拓市場)の違い
- バリューイノベーション、戦略キャンバスという概念
- ブルーオーシャンを創れる人間と、創れない人間の差
- 技術、海外経験、資格を積んでも差別化できない理由
- 嫉妬と無力感の中で、レッドオーシャンで戦い続ける現実
「あなたは、レッドオーシャンで戦ってますね」
転職活動をしていたとき、面接官が言った。
「あなたは、レッドオーシャンで戦ってますね」
僕は、意味が分からなかった。
「競争が激しい市場のことです。技術職、海外経験、資格。みんな同じことやってる。差別化できてない」
そう言われた。
そのとき、僕は『Blue Ocean Strategy』を思い出した。
W・チャン・キムとレネ・モボルニュが2005年に書いたこの本は、ビジネス戦略の古典だ。
「競争するな、新しい市場を創れ」と説く。
レッドオーシャン(赤い海)は、競争で血まみれの市場。
ブルーオーシャン(青い海)は、競争のない未開拓の市場。
競争するんじゃなく、新しい価値を創造しろ。
そうすれば、勝てる。
でも、僕には分からなかった。
どうやって、ブルーオーシャンを創るんだ。
『Blue Ocean Strategy』が言うこと
核心的な主張
この本の核心は、シンプルだ。
競争するな。新しい市場を創れ。
レッドオーシャンは、既存の市場。みんなが同じ土俵で戦ってる。価格競争。品質競争。機能競争。
血みどろの戦い。勝者はほんの一握り。ほとんどの企業は消耗する。
でも、ブルーオーシャンは違う。
誰も競争していない新しい市場を創る。競争相手がいない。だから、勝てる。
成功事例
この本は、たくさんの例を出す。
シルク・ドゥ・ソレイユ。従来のサーカスと演劇を組み合わせて、新しい市場を創った。動物ショーやスターを削り、演劇的な演出と洗練されたテーマを強化した。
任天堂Wii。ゲーマーじゃなく、家族全員をターゲットにして、新しい市場を創った。高性能グラフィックを削り、直感的な操作を強化した。
イエローテイル(ワイン)。高級ワインでも安物ワインでもない、カジュアルで飲みやすいワインを創った。複雑な味や熟成年数を削り、分かりやすさと親しみやすさを強化した。
全部、競争を避けて、新しい価値を創った。
だから、勝った。
この本の教え
この本は、こう教える。
既存の市場で戦うな。新しい市場を創れ。
そうすれば、競争から逃れられる。
でも、僕には分からなかった。
どうやって?
「バリューイノベーション」という概念
価値と革新を同時に
この本には、「バリューイノベーション」という概念が出てくる。
価値(バリュー)と革新(イノベーション)を同時にやれ、ということだ。
コストを下げながら、価値を上げる。
普通は、トレードオフだ。品質を上げればコストが上がる。コストを下げれば品質が下がる。
でも、ブルーオーシャン戦略は違う。
いらないものを削って、必要なものを強化する。
削って、強化する
シルク・ドゥ・ソレイユは、動物ショーを削った。でも、演劇的な演出を強化した。
任天堂Wiiは、高性能グラフィックを削った。でも、直感的な操作を強化した。
イエローテイルは、複雑な味を削った。でも、飲みやすさを強化した。
削って、強化する。
そうやって、新しい価値を創る。
それが、ブルーオーシャン戦略だ。
僕には分からない
でも、僕には分からなかった。
僕は、何を削ればいいんだ。
技術? 削れない。海外経験? 削れない。資格? 削れない。
全部、必要だと思っていた。
でも、全部やってる人間は、他にもたくさんいる。
「戦略キャンバス」という道具
競争要素を可視化する
この本には、「戦略キャンバス」という道具が出てくる。
業界の競争要素を横軸に並べて、縦軸にそれぞれの要素への投資レベルを描く。自分と競合他社を比較する図だ。
例えば、ワイン業界なら、こんな要素がある。
価格、品質、マーケティング、熟成年数、ブドウの品種、醸造技術、ワイナリーの遺産。
普通のワイン会社は、全部の要素で競争する。
「うちのワインは高品質で、熟成年数が長くて、ブドウの品種も良くて、醸造技術も優れていて...」
全部やろうとする。だから、競合他社と同じ形になる。
イエローテイルの戦略
でも、イエローテイルは違った。
熟成年数、削った。ブドウの品種の複雑さ、削った。醸造技術のアピール、削った。ワイナリーの遺産、削った。
その代わり、飲みやすさ、強化した。パッケージの親しみやすさ、強化した。分かりやすさ、強化した。小売店との関係、強化した。
削って、強化する。
そうやって、戦略キャンバスの形を変えた。
競合とは全く違う形になった。
だから、新しい市場を創れた。
この本が言うこと
この本は、こう言う。
自分の戦略キャンバスを描け。何を削って、何を強化するか決めろ。
競合と同じ形なら、レッドオーシャン。違う形なら、ブルーオーシャン。
僕には描けない
でも、僕には描けなかった。
技術? 削れない。他の人も持ってるから、削ったら負ける。
海外経験? 削れない。これも、他の人も持ってる。
資格? 削れない。これがないと、評価されない。
全部、必要だと思っていた。
でも、全部やってる人間は、他にもたくさんいる。
僕は、レッドオーシャンにいた。
「ブルーオーシャン」を創れる人間は、限られている
成功事例の共通点
この本を読んで、僕は気づいた。
ブルーオーシャンを創れる人間は、限られている。
シルク・ドゥ・ソレイユを創った人。サーカスと演劇を組み合わせる発想があった。
任天堂Wiiを創った人。ゲーマーじゃなく家族をターゲットにする発想があった。
イエローテイルを創った人。高級ワインの常識を捨てる発想があった。
彼らには、何かがあった。
発想力。創造力。リスクを取る勇気。常識を捨てる勇気。
僕にはない
でも、僕には、それがない。
技術を学んだ。でも、他の人も学んでいる。
海外に行った。でも、他の人も行っている。
資格を取った。でも、他の人も取っている。
僕は、レッドオーシャンで戦っている。
そして、勝てない。
でも、ブルーオーシャンを創れない。
何を削って、何を強化すればいいのか、分からない。
新しい発想が、ない。
「競争するな」という無力感
この本の核心
この本の核心は、「競争するな」だ。
でも、それは、競争から逃れられる人間だけが言えることだ。
僕は競争するしかない
僕は、競争するしかない。
技術職として、他の技術職と競争する。
海外経験者として、他の海外経験者と競争する。
資格保持者として、他の資格保持者と競争する。
ブルーオーシャンを創る能力がない。
だから、レッドオーシャンで戦うしかない。
レッドオーシャンの現実
そして、レッドオーシャンで戦う人間は、消耗する。
価格競争。品質競争。機能競争。
終わりのない戦い。
でも、戦うしかない。
なぜなら、ブルーオーシャンを創れないから。
僕が嫉妬するのは、ブルーオーシャンを創れる人間
嫉妬の対象
この本を読んで、僕は嫉妬した。
何に?
ブルーオーシャンを創れる人間に。
新しい発想ができる人間。
リスクを取れる人間。
常識を捨てられる人間。
彼らは勝てる
彼らは、競争から逃れられる。
新しい市場を創れる。
だから、勝てる。
シルク・ドゥ・ソレイユ。任天堂Wii。イエローテイル。
全部、勝った。
僕には無理
でも、僕には、それができない。
新しい発想ができない。
リスクを取れない。
常識を捨てられない。
だから、レッドオーシャンで戦うしかない。
そして、消耗する。
「ブルーオーシャン」は、才能の話だった
この本が隠していること
この本を読んで、気づいた。
ブルーオーシャン戦略は、才能の話だった。
新しい市場を創る能力。
新しい価値を生み出す能力。
それは、誰にでもできることじゃない。
「誰でもできる」という嘘
この本は、こう言う。
「誰でもブルーオーシャンを創れる」
「戦略キャンバスを描けば、誰でも新しい市場を見つけられる」
でも、それは嘘だ。
創れる人間は、限られている。
発想力がある人間。
創造力がある人間。
リスクを取れる人間。
僕にはない
僕には、それがない。
だから、レッドオーシャンで戦うしかない。
努力しても報われないのは、レッドオーシャンにいるから
気づいたこと
この本を読んで、分かった。
僕が満たされないのは、レッドオーシャンにいるから。
技術を学んでも、他の人も学んでいる。
海外に行っても、他の人も行っている。
資格を取っても、他の人も取っている。
差別化できない。
競争から逃れられない。
だから、勝てない。
でも
でも、ブルーオーシャンを創れない。
だから、レッドオーシャンで戦うしかない。
そして、消耗する。
この本は、答えをくれない
「どうやって」が書いていない
『Blue Ocean Strategy』は、答えをくれない。
「競争するな、新しい市場を創れ」と言う。
でも、どうやって創るのか、具体的には教えてくれない。
シルク・ドゥ・ソレイユの例。任天堂Wiiの例。イエローテイルの例。
全部、成功した例だ。
でも、どうやって思いついたのか、は書いていない。
ツールはあるが
「戦略キャンバスを描け」と言う。
でも、何を削って、何を強化すればいいのか、は分からない。
「バリューイノベーションをやれ」と言う。
でも、どうやってイノベーションを起こすのか、は教えてくれない。
結局
結局、この本は、
「ブルーオーシャンを創れる人間になれ」と言っているだけだ。
でも、創れない人間は、どうすればいいんだ。
僕は、今日もレッドオーシャンで戦う
僕は、今日もレッドオーシャンで戦う。
技術職として。海外経験者として。資格保持者として。
ブルーオーシャンを創れない。
だから、レッドオーシャンで戦うしかない。
競争する。消耗する。勝てない。
でも、戦うしかない。
なぜなら、ブルーオーシャンを創る才能がないから。
最後に――才能の壁
この本は、こう教える。
「競争するな」
でも、僕にとって、それは残酷な助言だった。
なぜなら、競争しないためには、才能が必要だから。
新しい市場を創る才能。
新しい価値を生み出す才能。
僕には、それがない。
だから、競争するしかない。
「競争するな」と言われても、競争するしかない。
それが、僕の現実だ。
分からないまま、また明日が来る。
レッドオーシャンで、孤独に。
